キミノテノヒラノウエ。
「てまり、カオルって誰?」

とベンチの隣に座った親友のサヤカ(沙也加)が私の顔を見る。
サヤカは製菓学校を一緒に卒業し、みなとみらいの有名ホテルのフレンチレストランの見習いパティシエとして就職が決まっている。

「高校の時の家庭教師。29歳。男。
大学病院に勤めるダサい自信家の外科医。」

と180センチでひょろりとした背格好にダサいチェックのシャツとオシャレとかけ離れたでデニム。
髪はいつきったの?っていうくらいの前髪が長いよく言えばボブ?
俗にいう、アキバ系のリュックに参考書がたくさんはいっていた。

まあ、仕事をはじめたら、髪をきったけど、
リクルートスタイルのスーツを着てたかな?

ととのった顔立ちなのに黒縁の分厚いレンズの眼鏡の惜しい顔を思い出す。

まあ、すごく分かりやすく数学も化学も教えてもらった。

お姉ちゃんのついでに。

「ダサいの?」と残念そうなサヤカの声。

「うーん。残念な感じ?」と私が笑いながら、ジェラートを舐めて、

「やっぱ、ピスタチオ最高!」と言うと、

「うん、でもこっちのカシスも美味いよー。」

と微笑むサヤカと
薫ちゃんの事は直ぐに忘れて、
シアワセなオヤツの時間にもどった。
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