キミノテノヒラノウエ。
翌日、私はよく眠れずに早く起き出すと、

薫ちゃんも部屋着に着替えて、リビングでコーヒーを飲んでいた。

「散歩に行こうか?」と私の顔を見たので私はうなずいて、用意をし、
夜が明けたばかりで、朝の光がキラキラとする海沿いを一緒に歩いた。

「俺が美冬と付き合ってたほうがよかった?」

「うーん。恋人の妹だから、私は薫ちゃんにとって特別だって思ってた。」

「てまりは俺にとって特別だよ。
だから、ルームシェアなんだろ。」と薫ちゃんは私の手を握った。

「なんで?」

「ケーキを美味そうに食ってたり、
忙しく笑ったり泣いたりして、
頑張ってるてまりをそばで見ているのは楽しい。」

なるほど。

「成長を見るのが楽しい的な?」と聞くと、

「まあ、ちょっと違うけど、今はそれでいい。
俺はてまりとルームシェアがしたい。って思ってそう言ったんだよ。
てまりは俺を利用して、一人前のパティシエになればいい。」とくすんと笑った。

「『育ゲー』(育成ゲーム)的ルームシェア。」と私がいうと、

薫ちゃんはクッと喉を鳴らして、

「腹減った。サンドイッチ買って戻ろう。」とコンビニに向かった。


こうして、
恋人の妹としてじゃない、
薫ちゃんと私の
ルームシェアが始まった。



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