キミノテノヒラノウエ。
予約されちゃった?

それって恋人になる予約?


酔っ払った頭ではよくわかりません。

でも、薫ちゃんが私にキスしたよね。

そして、今のキスは、私のファーストキスでしょ。

だって、今まで、恋愛禁止だったんだもん。

重ねられた唇が柔らかく、暖かかかったことを思い出す。

ちっとも嫌じゃない。

…嫌じゃなかったけど?!



私は恥ずかしくなって、シートに寄りかかって目を閉じ、
狸寝入りを決め込むことにした。


いや、だって、無理だから!

私の処理能力を超えてるから!


寝たふりだってわかっちゃうかもしれないけど、


今は無理だから!


薫ちゃんは
「死んだふりって、俺は熊か?」

とふっと笑ってから、車を発進させた。

…死んだふりじゃなくって、寝たふりです。

という反論はやめておこう。

とりあえず…。








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