キミノテノヒラノウエ。
「てまり、元気だった?」とサヤカがやって来た時、
朝から何も食べてなたった私は、店の前のベンチで
ミルクとピスタチオのダブルのジェラートをスプーンで口に入れたところだった。

お腹にアイスが染み渡る。

「なんだ、アイスを食べられるぐらい元気なんじゃない。」と呆れるサヤカに、

「昨日は大変だったんだよお。」と情けない声を出すけど、

「心配して、損した。」と私のスプーンを取り上げ、容赦無く奪い取って口に入れ、

「ピスタチオうまーい。」と声ををあげる。


「ね。美味いよねえ。」と微笑みあう。

「で?」

とサヤカは私に目で話せと促しながら、私の隣に座って、本格的にジェラートを食べ始めた。

「なんかねえ。
薫ちゃんが…
育ゲーだと思ってたら、
…恋人にしたいみたいなんだよね。」

と言ったけど、

急にそんなこと言っても、わかりっこなくて、

ルームシェアをするところから話すことになった。

「8歳も年上の男に本気出されたら、まあ、逃げようもないって言うか、
酔っ払って、一緒のベットに寝たのは、仕方ないにしても、
でも、キスは嫌じゃなかったんでしょう?」と聞かれて、

「一瞬だったし、
元から、嫌いという訳じゃないから…
かと言って、恋人って
どんなものだかわからない。
ねえ、恋人になるってどういう事?
どうやって恋人になるの?」

「そりゃあ…
お互い好きっていう気持ちがあって…、
一緒にいたくて、
相手の事が知りたくなって、
自分だけのモノにしたいって思って恋人になるんじゃないかな。」

とサヤカは考えながら、スプーンを口に運んでそう言った。



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