キミノテノヒラノウエ。
「乾杯。」とグラスをあげて私の初めての合コンは始まった。

5人づつの男女が向かい合って座る。

知らない男の人に目の前で笑いかけられてドキッとする。

カジュアルなスーツ姿の自動車メーカーに勤める人達らしい。

ミサちゃんの隣に座って、とりあえずえ、ニコニコしておく。

「君達って新人さんなんだってね。幾つう?」と前に座った茶髪の人が話しかけてくる。

語尾を伸ばした話し方がチョット気になる。

「22です。」と返事をすると、

「いいねえ。初々しくてえ。」とニッコリする。

…高木さんって名前だったな

「えっと、高木さんって、どんなお仕事してるんですか?」

「エンジニアってヤツかな。」

「…はあ。」とうなずくけど、どんな仕事かわからずに、言葉が続かない。

「車って何乗ってるんですか?」と隣のミサちゃんが話に加わる。

はー、よかった。

ミサちゃんのおかげで、話が弾みはじめた。


私はニコニコして料理を食べ、チョットずつワインを飲んだ。


その間に周りはなんだか親しげになって、賑やかに笑いあっていた。

席を変わったり、お酒を注ぎあったり、

どんどん目の前の男の人が変わって行き、

相手のことはよくわからないままだ。



…合コンって楽しくない。

率直な感想だ。



< 45 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop