キミノテノヒラノウエ。
駅に着いて、ミサちゃんと別れ、スマホを取り出して電話すると、

「今どこ?」と機嫌の悪い声。

「藤沢の江ノ電の駅前。」と言うと、

「俺は駅前のコーヒーショップにいるからそこで待ってろ。」

駅前のコーヒーショップ?ここの?

私が目をあげると、駅の横のコーヒーショップから、薫ちゃんが扉を開けて出た来た。


周りを見回し、私を見つけて急ぎ足で私に向かってくる。


背が高くガタイの良い薫ちゃんは人目につく。


薫ちゃんの顔が大きく微笑んでいるのがわかると


私は嬉しくなって薫ちゃんに向かって走り出す。



ドン、と薫ちゃんの胸にぶつかるように立ち止まると、

薫ちゃんはゆっくり私を抱きしめ、

「おかえり、チビスケ。」と囁いた。


「薫ちゃん、ただいま。」と急に恥ずかしくなって薫ちゃんの胸に顔を付けると、

「酔っ払い。」とギュッと抱きしめてから、肩を抱いてゆっくり歩き出す。

「チョットしか飲んでない。」と文句を言いながら、薫ちゃんの胸に寄りかかって歩く。


電車に乗って座ると、途端に眠くなる。

江ノ島の駅に着くまで、薫ちゃんの胸で安心して眠った。

< 47 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop