キミノテノヒラノウエ。
昼過ぎに家の電話が鳴る。薫ちゃんだ。

「てまり、悪いんだけど頼まれてくれる?
おれさあ、これからチョット入院するから、部屋に用意したバッグを持って
俺の勤め先に来てくれないかな?」

「どっ、どおしたの薫ちゃん!!」

「たいした事ないよ。虫垂炎。盲腸ってヤツ。
でも、これから手術だから、付き添いしてくれると助かるんだけど…」

「えっ、手術?
手術するの?
か、薫ちゃん、お腹切るの?
大丈夫なの?それってどうなるの?」

と、慌てて支離滅裂になってる。

「落ち着け。
俺は大丈夫だ。
俺の部屋の荷物を持って、まず、メモを見てタクシーを呼べ。
タクシー代も入ってるから、そのまま病院に来ていいよ。
スマホは持って来て。
連絡とれないと心配だから
落ち着いてゆっくり来いよ。手術は夕方だから。」と私に言い聞かせるように話す。

「すぐいく。」と言うと、

「休みなのにごめんな。外科の病棟にいる。」と言ってる途中で、

『宮下、家族は来れるのか?』と男の人の声が聞こえる。

『一緒に住んでるオンナでいいですよね。』

『家族は?』

『地方なんで、連絡だけしますよ。』と声がして

「じや、待ってる。」と電話が切れた。
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