キミノテノヒラノウエ。
薫ちゃんは食後に美味しそうにアップルパイを食べながら、

「これでルームシェアは終わりだな。」と正面に座った私の顔を真面目な顔で見る。

「え?なんで?」と私は驚いた声が出てしまう。

…まさか?薫ちゃんとの関係も?

「恋人になったら、ルームシェアじゃないよ。
同棲って言うんだろ。
てまり、毎日同じベッドで眠ろう。」と私の手を取る。


「…同棲?するの?」

「一気に結婚でも俺は構わないけど」とクッと笑った声を出す。


「…何言ってるの?結婚って早すぎるでしょ。」

「俺はちっとも早いと思ってないよ。
俺たち出会ったのはてまりが15歳だったし、俺はもう、来月で30歳になる。
俺はいつまで待ったらいい?」

「薫ちゃん…私と結婚したいの…?」

「15歳のてまりとは結婚を考えないけど、今のてまりとは結婚したい。
最初に会った時、なんて単純なヤツなんだろうって思った。
思ったことには全力でぶつかっていくって。
部活とかお菓子作りとか?
決めたらよそ見しないで迷わないで突き進んでいくてまりは
見ていて気持よかった。
見てるうちにどんどん好きになって
そばで見ていたいって、どんなヤツになるんだろうって
…気付いたら、目が離せなくなってた。
ずっとてまりを見ていたい。
てまりのパティシエになるって夢は俺が一緒に叶えたい。
そう思えるようになった。
久しぶりに会った、21になったてまりは魅力的なオンナになってた。
誰にも渡したくない。
俺と一緒に生きて欲しい。
決心がついたら結婚して欲しい。」と薫ちゃんは私をまっすぐに見つめる。




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