キミノテノヒラノウエ。
私は声が出ない。

薫ちゃんは柔らかく微笑んで、

「ゆっくり考えていいいよ。
でも、もう、掴んだ手を離すつもりはない。」

と握った手に力を入れる。


「…それって…ゆっくり考えても結果は同じ?」と私が聞くと、

「そういうことかな。」と薫ちゃんも考えながら言って少し笑った。

なあんだ。そうか。

私は薫ちゃんと結婚するんだ。

と妙に納得し



いつも大事な事を決める時は私の中に薫ちゃんがいたような気がする。

パティシエになると決めた日も、
専門学校で好きな男の子のデートの誘いを断るときも、
風間さんのお店に勤めたいって思った時でさえ、

いつも薫ちゃんがどう思うかって、
薫ちゃんに恥ずかしくないようにって、
喜んでもらえるかもって



私はずっと、見えない薫ちゃんの手の中に大切に守られていたみたいだ。

道に迷わないように…

薫ちゃんにたどり着けるように

ずっと大好きな薫ちゃんに…

きっとずっと好きだった。

お姉ちゃんの恋人だって思ってた時も…

ずっとずっと

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