嘘つきな婚約者
恵都が気づかないくらい、体型だけでなく、中身も俺は変わったのだろうか。
木崎良になってから、親や会社のみんなの前では、俺の本性を見せないようにしている。
小さな頃から、父親だってめったに会わないから、俺のことを本当には理解していないだろうな。
自分でも愉快なくらい、俺は真面目な仕事人間だと思われているから、そう演じている。
恵都には、どこまで俺の正体をかくしておけるだろうか。
田所良だと、ばらすタイミングを外したら、台無しだ。
慎重にことを運び、俺の手の内に入れなければならない。
会社の関係者たちを交えて、恵都と会う時間を設定した。二人きりになれば、それだけ俺の正体に気づくのが早くなる。
回りから、俺のことを聞いて、恵都の中での俺の存在を確定しておきたい。
そのための布石を置いていく、一つずつ。
まずは、真面目なよい人をインプットしてもらおう。