嘘つきな婚約者
私は、本当に驚いた。
まさか、あのおとなしい、いや、暗い性格だとばかり思っていた彼がドラム?
いやいや、まったくドラムが似合うようには、見えないが。
ましてや、人前で演奏するなんて、想像できない。
私は、そのギャップに、しばしボーッとしていた。
その時、再び携帯が鳴った。
胡桃からだ。
「今大丈夫?その後、何か進展はあった?」
「ドンピシャ!今、携帯で話したばかり。」
私は、胡桃に演奏会の件について、話した。
「胡桃も行かない?」
「うーん、残念。その日は、彼と泊まりで出かけるから無理。ごめんね。」
「仕方ないよ。次回と言うことで。彼と楽しんできてね。」
「うん、ありがと!じゃあ、また知らせてね。おやすみ。」
「おやすみ。」
その夜、私は少し興奮したのか、なかなか寝付けず、彼のことばかり考えていた。