嘘つきな婚約者


「木崎さん、素敵でした。今まで知らなかったあなたの一面を見せてもらえて、よかったです。」

「ありがとう。喜んでもらえて、よかった。
この後、ちょっとだけ打ち上げをするのですが、一緒にどうですか。仲間にも紹介しろと、言われていて……」

しどろもどろと、誘う良さんは、さっきまでのドラムを叩いていた人とは、別人のようだ。

そんな良さんを見て、何故か私は、「かわいいな」と思ってしまった。

「私なんかが参加しても、いいのですか?」

「出てもらえると嬉しいな。帰りは送りますから。」

「じゃあ、お言葉に甘えて。」



ライブハウスから、歩いて3分くらいのスナックで打ち上げが行われた。

良さんは、仲間の3人に私を紹介してくれた。

大学で意気投合して、始めたらしい。

良さんがボストンに行っている間は、ほとんど活動休止だった。

良さんが帰国したのをきっかけに、また練習を始め、今日久しぶりのライブをした。

男同士って、いいなあと感じた。

と同時に、私の気持ちは、良さんに持っていかれたのだった。

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