嘘つきな婚約者
ライブの後、また暫く、良さんに会うことはなかった。
良さんは、他にも案件を抱えていて、そちらの方も忙しいらしい。
7月に入り、画廊の内装が始まった。
一番のメイン、それは、中央付近に設置される楕円形の花壇。
そして、そのまま2階への吹き抜けとなる。
よく、ホールやソファーのそばに大きな植え木鉢を置くが、私は、本物の木や草花を植えたかった。
そして、絵や季節にあわせて、植える植物を変えていく。
そう、春ならもちろん桜、その次は、菖蒲や紫陽花、夏には竹……と言うように。
そのための花壇は、家庭の浴槽約3個分、深さも2メートル近い。
そこで問題があった。
水捌けをどうするか?
横や底に水捌け用の穴を設ければ、流れる水の影響で、長い間には地盤に支障が出てくる可能性もある。
見栄えやアイデアだけでは、実現しないことも建築上あるのだ。