嘘つきな婚約者
9月末、画廊の完成と同時に、良さんと私は、婚約をした。
良さんは、画廊の花壇の側で、プロポーズをしてくれた。
「こんな俺だけど、恵都さんとこれからの人生を歩んでいきたい。俺と結婚してくれませんか?」
「良さん、よろしくお願いします。」
この日、良さんは初めてキスをしてきた。
啄むようなキスから、ちょっとだけ舌を絡めたキスを。
出会いから半年ほどだけど、良さんの魅力にどんどん惹かれていく自覚がある。
ドラムを叩く良さんも、男性的でずっと見ていたくなる。
仕事人間の良さんも、言葉は少ないけれども、とても頼りになる。
でも、良さんは、まだ私に見せてない面をもっているようにも感じる。
一体、本当の良さんって、どんな人?
私の目の前にいるのに、別の人のようにも思えてくるのが、不思議だった。
両親にも挨拶を済ませ、結婚式の日取りも来年の3月3日に決まった。