嘘つきな婚約者
恵都との出会いは、俺が高校2年になった時。
中学からやっているバスケット部で、一応レギュラーになれた。
バスケットの実力を認められ、私生児だと言う事実を乗り越えようとしていた。
もちろん、私生児だとは回りの誰も知らない。
父親はずっと単身赴任ということで、小さい時から通してきた。
しかし、誰も知らなくても、自分が私生児だと言う負い目を勝手に背負っていたのだ。
だから、入学してきた恵都を見たとき、全てに恵まれたような笑顔が眩しくて、惹き付けられた。
同じく入学してきた胡桃は、3年の麻生先輩の妹で、バスケット部のマネージャーになった。
その友達が恵都で、入学から半年が過ぎた10月に、やっと胡桃に紹介を頼んだ。
胡桃も、俺の事を良く伝えてくれて、恵都と付き合い始めた。
付き合い出して初めてのデートで、触れるだけのキスをした。
俺は、有頂天になっていたのかもしれない。