嘘つきな婚約者
いよいよ建設が始まることになり、父と大原先輩と打ち合わせに臨んだ。
彼にも会えるのを、楽しみにしていた。
そんな私の気持ちを察して、父は、ニヤニヤしている。
しかし、初日の打ち合わせに彼は現れなかった。
他の建設現場から、突然の呼び出しがあったそうだ。
「恵都、残念だったな。」
と父がからかってくる。
木崎建設の相田部長も、
「本人も来れなくて、がっかりしていましたよ。」
どうやら、私と彼を会わせたかったらしい様子。
「まあ、近い内に会えるさ。」
父の何か含みのある言い方が、気になった。
その意味は、間もなくわかることになる。