嘘つきな婚約者


いよいよ建設が始まることになり、父と大原先輩と打ち合わせに臨んだ。

彼にも会えるのを、楽しみにしていた。

そんな私の気持ちを察して、父は、ニヤニヤしている。

しかし、初日の打ち合わせに彼は現れなかった。

他の建設現場から、突然の呼び出しがあったそうだ。

「恵都、残念だったな。」

と父がからかってくる。

木崎建設の相田部長も、

「本人も来れなくて、がっかりしていましたよ。」

どうやら、私と彼を会わせたかったらしい様子。

「まあ、近い内に会えるさ。」

父の何か含みのある言い方が、気になった。

その意味は、間もなくわかることになる。
< 3 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop