嘘つきな婚約者
良さんから、連絡がきた。
「明日、午後1時に呼ばれた。どうやら、トイレにこだわりたいらしい。内装にも関わるから丁度いい。打ち合わせどおりに頼むな。」
「わかった。午後1時ね。」
今度会うときは、私も一緒に行き、婚約者だと言うことをほのめかすことにしていたのだ。
次の日、約束通り、1時に現場に着くと、良さんは入り口で待っていた。
二人そろって入ると、娘さんの由佳理さんは、すでに来ていた。
「お待たせしました。」
と私が言うと、いかにも嫌な顔をされた。
「佐山さんが、どうして?」
良さんが直ぐに、
「トイレと伺っていたので、内装にも話を聞いて貰おうと思いまして。」
「内装は、後でよかったのに。」
「いや、同時に聞いたほうが、二度手間にならないので。」
と、良さんは、何度も呼ばれたくないことを暗に示した。