嘘つきな婚約者


「由佳理さん、付き添って下さって、ありがとうございます。」

と私がお礼を言うと、

「いえ、私の不注意から、良さんにけがを負わせてしまったので、当然のことです。」

「由佳理さん、恵都がきたので、もう大丈夫ですから、お引き取りください。」

と良さんが、やんわりと言う。

由佳理さんは、一瞬私を睨むと、すぐに笑みを浮かべ、

「わかりました。では、また明日きます。」

えっ、明日もくるの? と、私は、良さんを見る。

良さんは、困った顔をして、

「由佳理さん、そんなに責任を感じなくていいですから。」

「いいえ、治るまでお世話をさせてくださいと、もうしましたよ。」


< 43 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop