嘘つきな婚約者
良さんは、右肩の骨折だそうで、しばらく右側が使えず、不自由だ。なにしろ右利きだから。
でも、加害者ぶってお世話をしたがる由佳理さを、良さんはどうするつもりか。
良さんは、はっきりと真剣な顔で、
「由佳理さん、恵都がいるから、心配しないでください。恵都がすべてやってくれますから。明日から、お仕事に戻ってください。」
と、伝えた。
「そうですか。わかりました。では、お大事にしてください。」
とても悲しそうな様子で、帰っていった。
やっと二人で話せる。
「右肩は、どんな様子?」
「うん、大したことないよ。ただ骨がくっつくまで、動かせないけど。3~4週間ぐらいだそうだ。」
「そう、私にできることは、言ってね。まずは、どうするの?実家に戻るの?」
「ん~、俺としては、父親とは暮らしたことないからなあ。まあ、なんとか一人でやってみるさ。」
「ねえ、うちに来る?そうすれば、食事や洗濯は、私がやれるし、何かあっても誰かいるから。もうすぐ、家族になるのだから。」