嘘つきな婚約者
「ありがとうございます。光栄です。」
「リフォームの依頼で申し訳ない。佐山設計事務所と言うよりは、佐山恵都さん個人への依頼だと思ってください。」
「ご期待に答えられるように、頑張ります。」
「まず、僕の性格を理解してもらわないと、僕が望んでいる部屋はできないんじゃないかなと思うんだ。だから、これから、僕と食事でもしながら、話を聞いてもらえないかな。」
「えっ?」
突然の申し出に、始め何を言っているのか、すぐに理解できず、ぽけっとしてしまった。
「恵都さん?」
「あっ、はい。」
「これから食事に出られます?」
「はい、ちょっと待ってください。この後のスケジュールを確認してきます。」
私は、その場を逃げ出した。
父のところに行き、事の成り行きを説明する。
私は、一つの案件しか担当しないから、他のスケジュールはないのだが、どう対応してよいのか困ってしまったのだ。
こう言う時、男慣れしていないと、軽くあしらうスキルすらないのだ。