嘘つきな婚約者


夜なのにサングラスを掛けているから、やはり芸能人だろうと予想はつくが、黒田武瑠のオーラは半端なかった。

女性陣は、じっと見つめ目が離せなくなっている。

男性陣は、誰かがわかり、どうして?と言う顔をしている。

良さんだけは、真顔だ。

私は、仕方なく、

「こんばんは」

それだけを無愛想に言った。

「お友達?」

と黒田武瑠がみんなを見回す。

「はい」

また無愛想に答えた。

早く立ち去ってほしい。

「さて、婚約者がいるのに、合コンはどうかな?俺とは食事すらしてくれないのに。」

ここでそんなことを言うなんて、非常識だ。

「彼が婚約者ですから。」

と良さんを見て、怒った声で言った。

< 61 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop