嘘つきな婚約者

「醜い感情？」


「嫉妬してた。黒田武瑠が恵都を見る目は、狙っている目だ。まるで、俺に奪ってやると言っていた。」


「私は、良さんと結婚するのよ。黒田さんに惹かれたりしないよ。」


「俺はこんなに嫉妬してるのに、恵都は、いつも冷静だ。由佳理さんの時だって、昔の彼女らのことにしたって、嫉妬してくれないだろ。」

「そんなことないよ。ただ、私は、良さんとのことがあってから、誰とも付き合ったことがないの。だから、どう対処したらいいのか、わからないだけ。」

「俺は、恵都のことがずっと忘れられなくて、どんな人と付き合っても、本気になれなかった。いつも、恵都の顔が浮かんでさ、すぐに別れてしまうんだ。」

「私は、そんなに思われているなんて、信じられない。それほど価値があるとは思えないし。」

「いや、俺にとっては、何にも換えがたいよ。」

「ありがとう、とっても幸せだよ。」

「今、恵都を本当の意味で自分の物にしたいけど、まだ肩が……悔しいな。」

「じゃあ、大丈夫になったら、良さんの物にしてね。」