嘘つきな婚約者
どうにか会計を済ませ、外に出た瞬間、目眩がして、しゃがんでしまった。
「恵都!大丈夫?」
胡桃がびっくりして、叫んだ。
「うん、大丈夫。ちょっと立ちくらみしちゃったみたい。」
「恵都、何かあった?」
さすが、長いつきだけある。
「恵都、私に隠し事はできないわよ。」
私は、観念して今見た光景を胡桃に話した。
胡桃は、私の手を取ると、再び店の中に入って行った。
そして、
「良先輩、お久しぶりです。」
と、にこやかだけど、鋭い視線を良さんに浴びせて言った。
びっくりしている良さんに、一緒の女性が、
「良、後輩なの?」
と、良さんを呼びつけにした。
「ああ、いや、後輩と俺の婚約者。」
と、すっと立つと私の肩を抱いて、紹介してくれた。