嘘つきな婚約者
父と、彼のボストンでの仕事の話を聞いていると、木崎社長から、
「突然ですが、恵都さんに折り入ってお願いがあるのですが。」
と言われた。
「何をいいだすんだ父さん」
と、良さんも、怪訝な顔をして見つめていた。
「良は、まだ日本に戻ってきたばかりですが、ボストンでも仕事ばかりしていて、彼女の一人もいないありさまです。
私は、是非、恵都さんとお付き合いをしてほしいと思っています。佐々木さんとも、以前から、二人を会わせてはと話していたのですが、今日、恵都さんにお会いして、私の方があなたを気に入りました。
お願いできないでしょうか。」
私は、思わず良さんと目があってしまい、どうしたらいいか、頭の中がパニックに陥ってしまった。
それは、良さんも同様のようだ。