オオカミスイッチ 【完結】
「妻が出て行ってから
弦にはずいぶん苦労をかけてね。
寂しい思いもたくさんさせてしまったよ。」
ドクター蒼井は囲炉裏の火を組みなおし
囲炉裏の黒い鉄鍋の中を混ぜながら、
静かに話し出した。
「気づいたら
寂しいときに寂しいと
哀しいときに哀しいと
言えない人間になってしまってね。
そんな弦が高校生のときだったかね。
わたしの研究の助手で、時々家のことも
手伝いに来てくれていた女子大生がいた。
弦は恋をした。
研究にも、興味を持ってくれた。
はじめて私と弦の間に、
共通の話題ができたんだよ」
弦にはずいぶん苦労をかけてね。
寂しい思いもたくさんさせてしまったよ。」
ドクター蒼井は囲炉裏の火を組みなおし
囲炉裏の黒い鉄鍋の中を混ぜながら、
静かに話し出した。
「気づいたら
寂しいときに寂しいと
哀しいときに哀しいと
言えない人間になってしまってね。
そんな弦が高校生のときだったかね。
わたしの研究の助手で、時々家のことも
手伝いに来てくれていた女子大生がいた。
弦は恋をした。
研究にも、興味を持ってくれた。
はじめて私と弦の間に、
共通の話題ができたんだよ」