夫の優しさ、夫の強さ
その女性は、ゆるやかに揺れるプリーツスカートのワンピースに、高いヒールのパンプスをはいている。
茶色の髪は、肩より少し長目で揺れている。
全体的にふわふわした雰囲気の人だ。
たぶん、ハーフ?
この人が、例の元の彼女だろうか。
そこに、
「紗耶香ちゃん、偶然だね。」
と、正志さんのお父さんが、もう1人の男性と現れた。
「お義父さん、ご無沙汰しています。」
お義父さんは、偶然と言ったけど、驚いている感じではなかった。
きっと、父から聞いて知っていたのだろう。
「紗耶香ちゃん、紹介するよ。こっちは、俺の従兄弟で、佐伯慎太郎、今ロスに住んでいる。今日は、仕事で日本に来ていて、久しぶりに会ったんだ。そして、こっちは、娘のジャネット、正志のはとこになる。」
「そうですか。はじめまして、大西紗耶香です。」
『ああ、元の奥さんね。離婚した。』