夫の優しさ、夫の強さ
料理がくるまで、正志さんは、私の仕事について、いろいろ聞いてきた。
私は、ありのまま、聞かれたことに答えていた。
しかし、頭の中では、
《なぜ今になって?……もしかしたら、元の彼女との結婚を報告するつもりだろうか?》
と、混乱を必死でこらえていた。
もう、彼女は出産したはずではないだろうか。
料理が運ばれてきた。
「おいしそうね。」
「だろ。野菜は、この店の畑でとれたものを使っていて、とても美味しいんだ。」
私は、箸を持って食べ始めた。
「この大根、口の中で、ホロッと崩れて美味しい。」
正志さんは、私を見て、
「久しぶりに紗耶香の笑顔が見れた。」
と嬉しそうに正志さんも、微笑んでいる。