夫の優しさ、夫の強さ
「紗耶香、あの時は辛い思いをさせて、申し訳なかった。」
とテーブルに付きそうな位、頭をさげてきた。
「もう、済んだことでしょ。」
「そうだけど、僕の中では、まだ済んでない。実は、彼女の子どもは、僕の子じゃなかった。認知は、きちんとDNA検査をしてからにしろと、両親に言われていたから、子どもが生まれてすぐに検査した。そしたら違うってわかった。」
「じゃ、離婚した旦那さんのお子さんなの?」
「いや、旦那とは、ずっとそういう関係は、なかったらしい。あの頃、彼女は、荒れていて、何人かと関係があったらしい。」
「じゃあ、なぜ正志さんに?」
「彼女の願望?かな。僕の子ならいいなって思って、僕に連絡してきたんだ。そして、認知をしてほしいと。」
「そうだったの?」
「それで、本題だけど。
紗耶香、もう一度僕とやり直してほしい。今度は、絶対に紗耶香を傷つけないと誓う。僕の側にいてほしいんだ。」
思いもしない正志さんの提案に、私はしばし動けなかった。