夫の優しさ、夫の強さ
『やあ、待っていましたよ。来てくれてありがとう。』
加賀さんが、笑顔で迎えてくれた。
『空港まで迎えに行きたいと佐々木支配人に言ったら、大西さんが自分で行けるからと言っていると、断られてね。』
『すみません。出来るだけ人に頼るのを止めようと思って。ご厚意を無にしてしまいました。』
『いいえ、大事なことですよ。気にしないでください。』
『仕事は、明後日からと伺っていますが、私のアパートメントは、ここから近いのですか?』
『いや、短期だから、わざわざアパートメントを借りても無駄かなと思い、このホテルに部屋を用意しました。実は、私もホテル暮らしで、私の部屋の隣になります。治安が良くなってきてはいますが、ニューヨークは、危険もたくさんあります。佐々木支配人にも、くれぐれもと言われていますから、私の近くでと思いまして。』
『ご配慮感謝いたします。仕事にも便利ですし、安全です。助かります。』
『では、仕事の説明をロイから聞いたら、部屋に案内します。』
『ロイ、大西紗耶香さんだ。今いるメンバーだけでも、紹介したらいい。スーツケースは、ここにおいて、行ってきてください。』
芳賀さんは、ロイがいるからなのか、全て英語で話してきた。
私も早く慣れなければと、強く思った。