夫の優しさ、夫の強さ
ロイは、みんなに紹介してくれた。
フロントのスタッフは、若いメンバーばかりだった。
日本では、フロントは、ベテランからヤングまで年齢にばらつきがあり、それぞれが役割を果たしている。
多分、ロイが一番年上だろう。
みんなフレンドリーで、楽しく仕事ができそうだ。
フロントの仕事内容、ホテルの見取り図を見ながら主な場所の案内を受けた。
その後、ロイと再び芳賀さんの部屋へ戻ってきた。
『どうでしたか?慣れるまで、少し大変ですが、何でも分からないことは、遠慮せずにきいてください。』
と、芳賀さんは、優しく言ってくれた。
『では、部屋へ案内します。こちらへ。』
と言うと、芳賀さんは、私のスーツケースを転がし始めた。
「あっ、私が持ちます。」
「いえ、私もベルボーイの経験者ですから、任せて下さい。」
「ベルボーイをしていたのですか?」
「当然ですよ。どんな仕事にも下積みは必要です。そうでなければ、見えないものが沢山あって、支配人など勤まらない。そうでしょ?」
『あっ、私、日本語でした。すみません。』
「大丈夫。我々二人の時は、日本語にしませんか?たまに、気を張らずに日本語を使う時間が必要です。ね?」
「ありがとうございます。本当に助かります。」