夫の優しさ、夫の強さ


ロイは、みんなに紹介してくれた。

フロントのスタッフは、若いメンバーばかりだった。

日本では、フロントは、ベテランからヤングまで年齢にばらつきがあり、それぞれが役割を果たしている。

多分、ロイが一番年上だろう。

みんなフレンドリーで、楽しく仕事ができそうだ。

フロントの仕事内容、ホテルの見取り図を見ながら主な場所の案内を受けた。

その後、ロイと再び芳賀さんの部屋へ戻ってきた。

『どうでしたか?慣れるまで、少し大変ですが、何でも分からないことは、遠慮せずにきいてください。』

と、芳賀さんは、優しく言ってくれた。

『では、部屋へ案内します。こちらへ。』

と言うと、芳賀さんは、私のスーツケースを転がし始めた。

「あっ、私が持ちます。」

「いえ、私もベルボーイの経験者ですから、任せて下さい。」

「ベルボーイをしていたのですか?」

「当然ですよ。どんな仕事にも下積みは必要です。そうでなければ、見えないものが沢山あって、支配人など勤まらない。そうでしょ?」

『あっ、私、日本語でした。すみません。』

「大丈夫。我々二人の時は、日本語にしませんか?たまに、気を張らずに日本語を使う時間が必要です。ね?」

「ありがとうございます。本当に助かります。」
< 36 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop