夫の優しさ、夫の強さ
次の日、芳賀さんと私がパーティーに同伴したことを、誰もが知っていた。
そして、みんなから、質問攻めにあったのだ。
どうやら芳賀さんは、ここ数年誰とも付き合わず、1人だったらしい。
暫くぶりに、女性をパーティーに連れて行ったと、話題になっている。
私のほうが、その反響ぶりが大きくて、ついていけずにいた。
「すまない。こんなに大事になるとは、思ってなかった。」
芳賀さんは、私に誤ってくれた。
「いえ、大丈夫です。」
私は、早くこの話題から逃れたかった。
1日もやっと終わりかけたとき、正志さんが、
「紗耶香、何時に仕事が終わる?」
と、フロントに来た。
「あと、30分くらい。」
「じゃ、ロビーで待っているから。」
「はい、後で行きます。」
私は、仕事を終え、着替えてロビーに向かおうと、部屋を出た。