夫の優しさ、夫の強さ
正志さんが予約したのは、中華料理店だった。
日本にもある有名なお店で、安心して食事ができる。
「紗耶香と芳賀さんは、只の同僚だよね。昨夜は、どうしてパーティーに行ったんだ。」
「ええ、芳賀さんは、私の上司っていうだけよ。昨日は、妹さんの代役をしただけよ。」
「そうか。」
正志は、芳賀が紗耶香を狙っているのを察知していた。が、言葉にはしなかった。
どうやら、紗耶香は、芳賀の気持ちにはまったく気づいていない。ここで、下手なことを言って、意識させない方がいいと考えたのだ。
「いつ頃帰国するんだ?」
「予定は、3ヶ月だから、まだ先ね。」
「そうか、忙しいだろうけど、僕とのことも考えてくれよ。」
「わかってる……。仕事は、終わったの?」
「ああ、一応一段落はね。また、来るよ。この仕事が終わるまでは。そのたびにグランドシティに泊まるから、また食事をしよう。」
それから、正志さんとは、私の仕事についていろいろ話をした。
次の日、
「また、来るよ。」
と言って帰国していった。