夫の優しさ、夫の強さ
ニューヨークの出来事 2


紗耶香が、ニューヨークに来て2週間が過ぎた。

ようやく仕事にも慣れて、スタッフたちとも仲良くなり、楽しさを感じるようになった。

ナタリーとシルビアという友人もでき、3人が
オフの日は、食事やショッピングにも出かける。

今夜は食事のあと、ブロードウェイのミュージカルを観に行った。

ナタリーと化粧室に向かって歩いて行くと、ナタリーが、

『サーヤ、あれ、芳賀支配人よ。』

サーヤとは、紗耶香の愛称。スタッフはみんな、私のことをそう呼ぶ。

ナタリーが見ている方に目を向けると、芳賀さんが、綺麗な女性と歩いていた。

その女性は芳賀さんの腕に自分の腕を絡ませ、にこやかな笑顔で芳賀さんに話かけている。

本当に仲がよさそうだ。

どうみても、恋人同士に見える。

なあんだ、芳賀さんには、ちゃんと恋人がいるんじゃないか。

ホテルのスタッフや仕事仲間が、知らなかっただけなんだ。

最近、恋人になったのだろう。

少し、がっかりしている自分に驚いた。

パーティーのパートナーをしたから、芳賀さんにとって自分が特別だと思っていたのだろうか。
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