夫の優しさ、夫の強さ
『芳賀支配人が、恋人と来ていたんだよ。』
座席に戻って、ナタリーがシルビアにも、伝えている。
案の定、シルビアも驚いていた。
ずっと長いこと恋人がいなかったらしい芳賀さん。
明日は、ホテル中に広まっているだろう。
そう、結構芳賀さんは、もてる。
芳賀さんが醸し出す、日本人の凛とした雰囲気が、素敵だと言う。
仕事に対して厳しい面もあるが、とても紳士的で、外国人にはあこがれの対象になっている。
私も、芳賀さんには好意をもっている。
それが仕事の上でのことか、または、男性としてのことか、自分でもまだまだ自覚もしてない。
でも、パーティーの時は、恋人はいないからと、私にパートナーを頼んできたのに、嘘だったのだろうか。
正志さんに対しても、私の保護者のような態度をとったのは、どういうことなのか。
しかし、ワインカラーのワンピースが似合い、スタイルの良い綺麗な女性だった。
その二人の姿が、ずっと私を支配するとは、想像すらしなかった。