夫の優しさ、夫の強さ
芳賀康人は、一人、考えていた。
大西紗耶香がニューヨークにきて、2週間になる。
食事と、パーティーに出かけることができた。
ニューヨークに来た歓迎の食事だと、苦しい理由をつけて誘った。
次は、妹の代役だと嘘をつき、パーティーのパートナーとして同伴してもらうことにした。
折しも、その夜、元夫がホテルに宿泊していただけでなく、紗耶香を食事に誘っていた。
俺は、パーティーに行く約束をしていてよかったと、ホッとした。
しかし、次の日の夜、二人は一緒に食事に出かけて行った。
俺は、佐々木さんから、夫の浮気相手に子どもができて離婚したと聞いていたので、心配になった。
だが、今の俺には、二人の間に堂々と割り込めない。
早く、紗耶香を恋人に、いや、妻にしたいと、強く思った。