夫の優しさ、夫の強さ


数日後、前から杏奈に行って欲しいとせがまれて約束していた、ミュージカルに出掛けた。

杏奈は、俺の父親の再婚相手の娘で、もちろん血がつながっていない。

8才違いと、年が離れているので、俺もつい甘やかしていると、反省然りである。


杏奈は、未だ1才の時に実の父親が交通事故で亡くなっていた。

母親が再婚したとき、7才だったから、必然的に、俺の父親が実の父親のようだった。

もちろん、本当の親子のようであり、父親も甘やかしている。

ボーイフレンドも沢山いるくせに、まだ俺に甘えてわがままを言ってくる。

それに答える俺にも、責任はあるのだが。



ミュージカルを観た翌日、ホテルのスタッフが俺をみては、何か話しているのが気になった。

『ロイ、俺のことで何かあったのか?』

俺は、ロイを捕まえて聞いた。

『支配人、恋人ができたそうで、おめでとう。』

『はあ?何のことだ?』

『何でも、昨日、恋人とミュージカルに行ったところを見られて、その話題でもちきりですよ。』

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