夫の優しさ、夫の強さ
「妹を恋人だと思われたらしく、今日は、かなり噂になっていたようだね。」
「昨日、ナタリーと私が見かけたのですが、シルビアも一緒に行っていて、今日、みんなに話したみたいです。すみません。確かめもせずに。」
「いや、君は何も言ってないことは、わかっているよ。噂好きではないだろうからね。」
「あ、ありがとうございます。でも、なぜ私だけに?」
「他のスタッフにどう思われても構わないが、君には、誤解されたくなくてね。」
「はあ。」
なんか曖昧な返事しか、返せない。
話のほこさきが見えないからだ。
「紗耶香さん、もう少し時間を掛けたかったのだが、これも良い機会だから、思いきって言うよ。
俺と結婚を前提に付き合ってもらいたい。」
突然の申し出に、私は目を白黒させてしまった。
全く、予想していなかったことだ。
「正直に言うと、日本で初めて君を見て、目を離せなかった。きっと一目惚れなんだと思う。女性に対して、こんな気持ちになったのは、初めてなんだ。」