夫の優しさ、夫の強さ
「わかりました。あなたを知りたいと、私も思います。」
再婚はまだ考えられないけど、私もこの人の側で、この人を見ていたいと思い始めていたのだ。
「ありがとう。嬉しいよ。これから、食事に行こう。思い切り日本語で話そう。お互いのことを。」
「はい!」
私は、元気に返事していた。
自分でも、この展開に驚いていた。
その後、二人で出掛けたのは、寿司店。
日本語なら、和食だと芳賀さんが言い出した。
「紗耶香さん、俺のことも、名前でよんでほしい。それから、敬語は、禁止な。」
ちょっと恥ずかしかったけど、グラスを見つめながら、呼んでみた。
「康人さん……。」
「うん、やっぱりいいなあ。じゃあ、乾杯!」
「よろしく!」
と、初めてなのに、康人さんとは、自然に打ち解けた。
正志さんと比べては、失礼だけど、気を使っていない自分がいた。
食事を終えて、二人でホテルに戻ってくると、
ロビーに綺麗な女性がいて、私たちに近づいてきた。
康人さんの妹の杏奈さんだ。
『杏奈、どうしたんだ。』
『今日ね、この間のパーティーに私以外の女性と出掛けたことを聞いたの。誰かなと思って、聞きにきたのよ。でも、聞くまでもなかったわね。兄さん、紹介してくれるでしょ。』