夫の優しさ、夫の強さ


「わかりました。あなたを知りたいと、私も思います。」

再婚はまだ考えられないけど、私もこの人の側で、この人を見ていたいと思い始めていたのだ。

「ありがとう。嬉しいよ。これから、食事に行こう。思い切り日本語で話そう。お互いのことを。」

「はい!」

私は、元気に返事していた。

自分でも、この展開に驚いていた。

その後、二人で出掛けたのは、寿司店。

日本語なら、和食だと芳賀さんが言い出した。

「紗耶香さん、俺のことも、名前でよんでほしい。それから、敬語は、禁止な。」

ちょっと恥ずかしかったけど、グラスを見つめながら、呼んでみた。

「康人さん……。」

「うん、やっぱりいいなあ。じゃあ、乾杯!」

「よろしく!」

と、初めてなのに、康人さんとは、自然に打ち解けた。

正志さんと比べては、失礼だけど、気を使っていない自分がいた。

食事を終えて、二人でホテルに戻ってくると、
ロビーに綺麗な女性がいて、私たちに近づいてきた。

康人さんの妹の杏奈さんだ。

『杏奈、どうしたんだ。』

『今日ね、この間のパーティーに私以外の女性と出掛けたことを聞いたの。誰かなと思って、聞きにきたのよ。でも、聞くまでもなかったわね。兄さん、紹介してくれるでしょ。』
< 53 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop