夫の優しさ、夫の強さ
新たな道を歩み始められそうです


康人さんに告白されてから、私は芳賀さんを目で追うようになっていた。

だんだん康人さんを意識していくのが、手に取るようにわかる。

正志さんとのことで傷つき、男性に対して、嫌悪感が生まれていたのに、康人さんには、感じない。

むしろ、側に行きたいと言う衝動に駈られる時もあり、そういう自分に困惑しているのだ。



近頃は、よく食事に行く。

大抵、外で待ち合わせをした。

やはり、噂になるのは避けたかったからだ。

隣の部屋に住んでいるのに、康人さんは決してお互いの部屋を行き来するようなことはなかった。

正直、紗耶香は、康人さんから性的な危険を全く感じない。

それが、安心感に繋がり、心地良い。

康人さんは、まだ、手を握ろうとしたり、キスをしようしたりする素振りは見せなかった。

大人の付き合いなのに、まるで中学生のプラトニックラブのようだ。

でも、大事にしてくれることは、話し方や態度から、十分に伝わってくる。

紗耶香は、自分の気持ちがだいぶ康人さんに向かっていることを自覚し始めていた。
< 56 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop