夫の優しさ、夫の強さ
突然の康人の両親との食事に、戸惑いを感じたが、紗耶香は申し出を受けた。
康人は、車椅子を押してレストランへ連れて来てくれた。
『はじめまして、大西紗耶香と申します。お招きありがとうございます。座ったままですみません。』
と挨拶をした。
『いや、大変なところ食事に誘って悪かったね。康人の父です。』
『怪我のほうは、どうかしら?無理させてはない?』
と傍らに寄り添う母親が優しく語り掛けてくれる。
『はい、大丈夫です。大したことはないので。』
その後、食事をしながら、日本のことについて、いろいろ話をした。
そして、
『私、実は、離婚しています。』
と紗耶香は、思い切って話した。
すると、ご両親は、
『辛い思いをしたそうだね。でも、康人はきっと大丈夫だと思うよ。親として信じていますよ。』
と親からの、保証を貰えた。
二人のことを認めてくれたようで、康人も紗耶香もほっとした。