夫の優しさ、夫の強さ
「すまない、思い出せない。」
「無理しないで。少しずつね。」
康人さんのお母さんが、
「暫く、そばにいてもらって、一緒に過ごせばいいわ。あんなに愛し合っていたのだから。」
お父さんも、
「このあと、二人で話してみたらいい。」
私は、ジェニファーさんが康人さんを気遣いながら、側にいるのが、気になった。
記憶がなくて、ジェニファーさんが唯一の頼れる人だったのだから、仕方ないとは思うけど。
私と康人さんは、ほんの数ヶ月しか一緒にいなかった。
でも、ジェニファーさんとは、1年近く一緒に暮らしてきている。もう、二人は、気持ちが通じ合っているのだろうか。
もしかしたら、もう男女の関係があるのかも。
私は、急に怖くなった。
もう、傷つくのはいやだ。
私は、思わず母の腕をつかんでしまっていた。
そんな私に、
「二人で話してみなさい。大丈夫だから。」
と、力を分けてくれる。