夫の優しさ、夫の強さ


康人さんに拒絶されたらどうしようと、不安だったが、康人さんに側にいてほしいと言われ、嬉しかった。

私たちは、毎日、会うことにした。二人で過ごした場所に一緒に行ってみることにした。


みんなの所に戻り、そう話すと、ジェニファーが、

『じゃあ、私もニューヨーク観光を兼ねて、一緒に行きたいな。』

『申し訳ないが、それは、遠慮してもらいたい。案内なら、他の者をつけるから。』

とお父さんが直ぐに、言ってくれて、私はほっとした。

そのジェニファーの態度に、どうみても康人さんに好意以上のものをもっていると、誰もが確信した。

しかし、康人さんの方はと言うと、ジェニファーに対して、恩を感じているだけのようだ。

ちょっとだけ優越感を感じた自分に、私ってこんな気持ちもあったんだと驚いた。

そのあと、康人さんの小さい頃の話しをしながら、みんなで食事をした。

もちろん、私と康人さんは隣に座った。

ジェニファーさんは、少し悲しげに見えた。

でも、同情してはいられない。

康人さんを自分の手に取り戻さなければならないのだから。
< 73 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop