夫の優しさ、夫の強さ
康人さんに拒絶されたらどうしようと、不安だったが、康人さんに側にいてほしいと言われ、嬉しかった。
私たちは、毎日、会うことにした。二人で過ごした場所に一緒に行ってみることにした。
みんなの所に戻り、そう話すと、ジェニファーが、
『じゃあ、私もニューヨーク観光を兼ねて、一緒に行きたいな。』
『申し訳ないが、それは、遠慮してもらいたい。案内なら、他の者をつけるから。』
とお父さんが直ぐに、言ってくれて、私はほっとした。
そのジェニファーの態度に、どうみても康人さんに好意以上のものをもっていると、誰もが確信した。
しかし、康人さんの方はと言うと、ジェニファーに対して、恩を感じているだけのようだ。
ちょっとだけ優越感を感じた自分に、私ってこんな気持ちもあったんだと驚いた。
そのあと、康人さんの小さい頃の話しをしながら、みんなで食事をした。
もちろん、私と康人さんは隣に座った。
ジェニファーさんは、少し悲しげに見えた。
でも、同情してはいられない。
康人さんを自分の手に取り戻さなければならないのだから。