夫の優しさ、夫の強さ
再スタートです
それから、午前中は、ホテルで仕事について、支配人から説明を受け、午後からは二人で過ごした。
部屋も、私と康人さんの隣同士の部屋に滞在した。
母は、一足先に日本へ帰った。
私に対する康人さんの態度に、安心したと言っていた。
ただ、康人さんの記憶が戻らない時、私がどうするのか、考えておくようにと、言われた。
お医者さまは、何かのきっかけで戻ることもあるが、このままというのもありえるからと、言っていた。
二人で過ごして3日目の夜、康人さんは食事をしながら、
「紗耶香、俺は、君と居ることが自然だと感じているけど、君は、こんな俺でも、受け入れられるだろうか?」
「ずっとあなたを待っていたのだから、問題ないけど。」
「ありがとう。でも、記憶が戻らなかったら、君は、どうしたい?」
「あなたは?」
「図々しいかもしれないけど、俺と初めからやり直してくれないか。俺は、紗耶香に側にいてほしい。仕事の件が順調に運んだら、結婚を視野に入れてほしい。たとえ、記憶が戻らなくても。」
「康人さんが私でよければ、側にいます。」