夫の優しさ、夫の強さ
1週間は、あっと言う間に過ぎた。
ジェニファーは、まだ、ニューヨークに滞在していた。
既に、康人さんの実家からホテルには移っていたが、彼女は、仕事はしていないのだろうか?と、疑問だった。
康人さんは、ジェニファーに関しては、何も話さないから、私の方から根掘り葉掘り聞くことは、止めておいた。
私は、休暇をあと3日だけ延長して、康人さんの側に居ることにした。
二人で過ごしても、康人さんの記憶が戻ることはなかった。
ジェニファーが、フランスに帰ることにしたので、今日は、空港まで、見送りに来ていた。
康人さんの両親と四人で、見送ることにした。
私は、遠慮しようかと思ったけど、康人さんが、一緒に行って欲しいと言うから着いてきた。
『ジェニファー、今まで本当にありがとう。フランスのみんなにも、よろしく言って。』
康人さんが言うと、ジェニファーは、康人さんの首に抱きつき、康人さんの頬にキスしてきた。
『やすひと、また会いにくるから。』
『今度は、恋人と一緒にこいよ。』
『また、いじわるを言うの?』
『何回でも言うよ。ジェニファーは、妹のようなものだ。』
やっと、ジェニファーは、康人さんから離れた。
私が、
『ジェニファーさん、気を付けて。』
『さやか、ありがとう。』
と、寂しそうに、ゲートに入って行った。