夫の優しさ、夫の強さ
ふと目を覚ますと、既に起きていた康人さんが
「おはよう、紗耶香」
「ふ、もう夕方よ。康人さん、気分はどう?」
「すっきりしてるよ。まだ全ては思い出さないけど、自分の世界が開けてきた気がする。」
「急がなくていいのよ。時間はたっぷりあるから。」
「うん、わかってる。でも、紗耶香は、もうすぐ日本に帰ってしまう。」
「また、すぐ来るよ。」
「彼はあれから?」
「正志さんは仕事よ。終わったら、会って話したいの。一緒に行ってくれる?」
「もちろん。失礼な態度を取ってしまって、謝るよ。」
「ありがとう。そろそろ連絡が来る時間だから。」
康人さんは、再会して初めて、私にキスしてきた。
「紗耶香、愛してる。記憶がなくても、俺の心の中には、君がいた。だから、ジェニファーの気持ちに応えられなかった。紗耶香、ずっと一緒にいて。」
「嬉しい。私ね、日本に帰って仕事にけじめをつけてくる。そして、ニューヨークで、あなたの側にいる。」
「ありがとう。紗耶香。」