満月の下、蘇る
そして昼休み。
俺達は彗と翔と合流して屋上に向かっていた。
翔「はあ・・・」
嶺「翔ため息何回目だよ!!
もう!元気出せって!」
翔「・・・はああ」
嶺「・・・ダメだこりゃ」
彗「まあ、そのうち元気になるさ」
「・・・ほんと何者なんだろうな」
柊「・・・ねえ。屋上誰かいる」
突然柊羽がそんなことを言い出した。
柊羽は人より耳がいい。
きっと話し声が聞こえたのだろう
「・・・俺らの場所だって知ってているのか?」
柊「・・・さあ?本人に聞けって」
「・・・そうだな」
そう言って俺は屋上に続くドアを開けた
柊羽が言ったとおりそこには人がいた
男2人・・・・・・見たことねえ顔だな
俺が何をしてるって聞くと2人が答える前に嶺亜が大声で叫んだ。
───噂の転校生───と。
こいつらが・・・?
てか、嶺亜いつの間に転校生の顔知ったんだ・・・?
ああ、いつものあれか。事情を知ってるやつに質問攻めでもして顔の特徴とか聞いたのか。
なんて考えてるうちに話しが進んでて、翔があいつらにここはどんな場所か知ってるのか聞いていた。
知ってるならここにいる訳ないと思っていたが、返ってきたのは意外な答え。
知ってるのにここにいる・・・?いい度胸してんじゃん。
早く立ち去れと言ってもなかなか立ち去らない。
挙句の果てにはここが気に入っただなんて言ってきた。
俺・・・いや、俺らは物凄く苛立っていた。
多分、無意識のうちに殺気も出ていただろう。
そしたら1人の男が俺らを更に苛立たせる事をハッキリと言ってきた。
それにしても俺達の殺気を見てもひるまない。
寧ろ余裕をぶっこいてるくらいだ。
ブチッ
多分あいつらには聞こえてないだろうが俺にはハッキリ聞こえた。
翔と彗、嶺亜の堪忍袋の緒が切れた音が。
俺と柊羽はそこまでではないがかなり苛立っていた。
もうこうなったらあいつらに痛い目見てもらうしかない。
他の奴らも同意見らしく俺のことをチラッと見ていた。
俺達は付き合いも長いし、信じあってるから目で会話なんてお手の物。
俺はゆっくり瞬きをした。
これは“やってもいいぞ”と許可するときの合図だ。
それを確認すると全員で殴りかかった。
いくら翔1人の拳を止められても、俺ら5人の拳を避けて止められる訳がない。
そう思っていた。でも────
「「「「「!!!!!」」」」」
あいつら2人は俺達の攻撃を避け、拳を入れてきた。
俺達5人は全員地面に倒れた。
俺は驚いた。無駄な動きをせず、急所をしとめる正確さに。
そんな2人に俺は興味が沸いた。
何者だと聞くと普通の高校生だと言った。
・・・ふっ。面白い。俺らに教える気はないってか。上等だ
1通り自己紹介をし、あいつらの名前も教えてもらった。
事が済むと藤井と佐倉は帰ろうとした
でも、翔も興味が沸いたらしく、負けたのにイキイキとした顔でまた手合わせをしようと申し込んでいた。
翔に出口を塞がれ、あいつらはもう帰れないからもう少し話しが聞けると思ったら
急に目の前から2人がいなくなった。
「・・・なんだ?・・・え?」
彗「・・・飛び降りた・・・・・・!?」
俺達は急いで屋上の端に行き、下を見下ろした。
するとそこには、血を流し倒れている────
なんてことはなく、さっきと変わらずピンピンしてる藤井と佐倉の姿があった。
5階から飛び降りて無事だと・・・?
嶺「・・・嘘でしょ・・・?」
柊「・・・・・・着地したのか?」
翔「そう、みたいだな・・・」
彗「・・・・・ますます興味深いなぁ〜」
「・・・おい、お前ら。全力であいつらの事調べるぞ」
俺がそう言うと4人は楽しそうに笑ってそれぞれ返事をした。
・・・・・・佐倉瑠偉と藤井櫂・・・
「・・・ふっ。楽しくなりそうだな
絶対正体をあばいてやるよ───」
〜琥珀side end〜