イケメンなんか大嫌い

……テクニックなのかな。
それとも、相手が俊弥だから、なのかな。

「……んぁっ……」

漏れる声も、身体の芯に宿る熱も、今までとは違う。


こんなセックス、知らない。

これまでのような、穏やかな行為とは全く違う。
激しく求めるような動きとは裏腹に、触れた部分は壊れ物を扱うかの様に優しい。
朧気に見上げた瞳の奥には、情熱に燃える炎が浮かんで見えた気がした。

瞬間、頭の横で折り曲げられた指先の爪が、掌に食い込みそうに力が篭った。
血管が切れそうに反り返った手首が、踏ん張りたくて空中を彷徨っている。
その手が、ベッドのパイプを探り当てるや否や、縋るようにしがみついた。

背けた顔のまま、視界の端を掠めた頭上に迫る胸元から喉仏へと視線を流すと、わたしを見つめる瞳と目が合う。
艶かしい眼差しから目を逸らせず、ゾクリと腰が上擦った。

頭がくらくらと回って、瞼の裏に星が飛びそうなくらいだ。

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