イケメンなんか大嫌い

自分でも聞いたことのない声が耳を掠めた後、背後からの囁きに我に返った。

「……そんなに良い?」

は、と短く荒い呼吸が漏れる。

「……っ……全然良くない……」
「嘘吐くなよ……すっげ締めてくんだけど」

見る間に顔が熱を帯びたのがわかった。
雁字搦めにされた身体の中、唯一自由が利く腕で、悔しくてシーツを握り締めた。

「……身体だけだもん……っ」
「……あーそう。じゃあ俺達ってセフレなの?」

「……そうかもね」

俊弥の手が背後から頬に伸びる。

「未麻。顔見して」
「……!やっだ、あっ」

「見せろって」

半ば強引に顎を掴まれ振り向かされると、俊弥の顔がすぐ横から覗き込んで来た。
心なしかその顔にも恍惚とした上気が感じられたが、手加減されることなく身体は動き続ける。

「えっろい顔」
「……馬鹿にして……」

「してねぇって。この口も身体くらい素直だったらな」

顎から口へと滑り込んだ指先が、わたしの唾液で濡れて行く様が、五感を煽る。

「……ふっ……ん」
「そこも面白ぇんだけど」

面白い……?
押し寄せる官能の波に意識が霞んで、何も考えられなくなって来る。
指が引き抜かれて、だらしなく開いたままの口に、今度は舌が差し入れられた。

「んむ……」

抵抗する力も考えも足りずに、気付けば瞼を閉じ、ただ与えられる快楽に身を委ねていた。

溺れるとは、こういうことか。

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