イケメンなんか大嫌い
「まぁ、ストーカーされて嬉しがってんなら、世話ねぇや」
ショッキングな口ぶりに唖然とした。
なんて言い方するんだ……!
「ちょっ! 人を変態みたいに……!」
わたしの剣幕に被せるように、すかさず反論が飛んで来る。
「だってお前、すっげぇ女の顔してて気持ち悪ぃ」
おえっと舌を出す仕草をして見せて、肩を竦めた。
「おっ……」
女の顔……!?
「ちょっと清隆(きよたか)さん、言い過ぎよ……」
「そうか? まんざらでもねぇんだろ」
余りの言い草に拳を握り絶句したところへ再度柚乃さんがフォローを入れてくれたが、親指でわたしを指しながら楽しげにくつくつと笑う兄を直視出来ずにそっぽを向いた。
例によって手の甲で口元を隠したものの、顔が耳まで真っ赤に染まってしまった自覚を持ったから。
この火照りを鎮める方法として何が最も有効だろうかと、頭の片隅に巡らせていた。