イケメンなんか大嫌い
21時を回った頃、コンビニの袋を手に俊弥が現れた。
「大丈夫か」
「……ありがと……」
足早に上がり込むと、暗い廊下で後ろに手を回されたらしく、背筋に充てがわれた掌の感触に肩が跳ねた。
「座ってて」
どのような面構えなのか気になって、目を凝らしたものの暗闇に紛れ判断が付かずに、僅かに思案してからベッドに腰掛けた。
上方へ腕を伸ばし電球を取り替える姿を眺め、心音が徐々に大きく鳴り始める。
無事に灯りが点ると、ずいぶん久し振りに思えるその顔とはっきり目を合わせ、安心からか涙が溢れ出してしまいそうな程だった。
眼前の人が僅かに眉を下げながら身をかがめ、躊躇うような素振りを現しつつベッドへと腰を下ろした。
わたしの目元へ伸ばされた指先が拭ったのは、ポロポロと落ちてしまっているアイメイクだった。
「どうした。電気点かないのがそんな怖かった?」
「……」
しかし、崩れた化粧や泣いたことを感付かれた恥ずかしさなどそっちのけで、弾かれるようにしがみついてしまった。
「未麻……」
会いたかった。触りたかった。
わたしはそう思ってたけど、俊弥は?